第6話 政宗公の愛馬は子供の守り神
のりこ様は「るーぷる仙台」がお気に入り♪
エッセイ【るーぷるの車窓から】
第6話 政宗公の愛馬は子供の守り神
るーぷる仙台は、仙台駅前から4つめの停留所「瑞鳳殿前」(ずいほうでんまえ)を出て、花壇(かだん)地区を抜けると、大きく曲がって細い坂道にさしかかります。
しばらく登り続け、やがて大通りに出ると、そこは片平地区。
右手には、伊勢神宮の分社である仙台大神宮が見えてきます。
仙台大神宮から少し東に行くと、木々の生い茂る公園の一角に、ひっそりと神社が建っています。
ここは、五島(ゴトウ。「後藤」とする説もある)と呼ばれた伊達政宗公の愛馬を祀る、馬上蠣崎神社。
「うばがみかきざき神社」と読みます。
当初は、大橋を渡った左手の、追廻(おいまわし)という地名の残る馬場で、軍馬の守り神として信仰され、明治時代に現在の位置に安置されました。
「時は1614年のことでした。
老齢であった五島は、政宗公が大阪夏の陣に出陣するとき、留守を申しつけられました。
これを悲しんでか、仙台城の本丸から64mの崖下に飛び降り、死んでしまったのです。
政宗公は、たいへん哀れに思い、この愛馬のために墓を建て、ねんごろに葬ったと伝えられています。」
観光バスの全盛期、ガイドさんの名調子です。
後に、この神社は「馬」の文字がつくことから「馬脾風」(ばひふ)、つまりジフテリア除けに霊験があるとされました。
クルミを神殿の階段から転がして落とし、これを霊薬とするそうです。
かつて、現在のように多くの子供が健康に育つわけではなかった時代には、子供をいつくしむ親達の信仰を集めたのでした。
“ゴトハカさん”
広瀬川を越え、今も祀られる伝承の名馬・ゴトウの墓を、人々は親しみを込めて、そう呼んできました。
つい20年前頃までは、それを地名として口にする方も、おられたものでした。
仙台城跡の資料展示館では、本丸跡の伊達政宗公騎馬像を、愛馬ゴトウにまたがる政宗公の姿、と解説しています。
参考文献:
要説宮城の郷土史(仙台市民図書館編)
仙台の珍談奇談=仙台の町並みに見る庶民の信仰=田村昭著
(るーぷるエッセイ第6話 おわり)
2011年2月作成
素敵な制服の運転手さんから、楽しいお話が聞けるかも。るーぷる仙台の"お楽しみ"の一つです♪