第7話 大橋にあったもう一つの甘味処
のりこ様は「るーぷる仙台」がお気に入り♪
エッセイ【るーぷるの車窓から】
第7話 大橋にあったもう一つの甘味処
るーぷる仙台は、広瀬川にかかる「大橋」をわたり、「博物館・国際センター前」をめざします。「大橋」の手前には、平成の始めまでは、左右に甘味のおいしいお店がありました。
右には「源吾茶屋」。今も営業しています。つきたてのお餅を、みちのく名物のさまざまなアレンジでいただけます。
左には「大橋茶屋」。もうお店はなく、建物だけが残されています。
昭和30年代の当時、ここには市電が走っていました。近くには、市民プールや天文台がありました。
夏がくると、大橋茶屋では、広瀬川に面した戸を取り払い、よしずがめぐらされ、「こおりみず(カキ氷)」「ラムネ」「アイスキャンデー」が売られました。ほこりっぽい道路には、打ち水をして涼を求めました。川面を渡る風が涼を運び、それは贅沢なひと時だったのです。
四季を通じた人気メニューは、なんといっても雁月(がんづき)でした。蒸し菓子の上にトッピングした黒ゴマを、月と雁(かり)の姿に見立てたもので、経木(木を薄く削った包装用紙)につつまれ、その香りも味を引き立ててくれました。
名前の由来は、神前にお供えする「神搗」(がんづき)という名の菓子から転訛したともいわれています。
甘味に乏しかった当時、今で言う人気のスイーツだったのでしょう。
大橋茶屋は、どうしたのでしょう。あの雁月は、もう食べられないのでしょうか。
実は、この雁月、少し離れたところで、現在も販売されています。木町通の仙台市交通局の近くにお店があります。
当時のまま、黒いほうは、ふっくらして色は黒糖から出る色。白いのは、お餅の様な、東北の方なら「くじら餅」、全国区なら「ういろう」に似た食感です。
美味しいものには時間は関係ありませんね。忘れられない地元の名品の一つです。
(るーぷるエッセイ第7話 おわり)
2011年11月作成